ご挨拶

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)が、人々の健康や社会活動に多大な影響を及ぼしている。関西空港を有する大阪は、海外との活発な経済的・文化的交流を通じて多大な恩恵を受けてきた。それゆえCOVID-19の流行は我々の社会活動のみならず経済活動にも甚大な被害をもたらし、1日も早いCOVID-19の終息が求められている。しかしながら、COVID-19のみならず今後新たな新興人獣共通感染症が海外から持ち込まれる可能性がある。2025年に開催予定の大阪・関西万博(EXPO25)には、多くの旅行者が国外から大阪を訪問することが予想され、大阪府民の健康・安全と経済発展を維持して行く上で感染症対策を強化することは最重要課題である。

 今回のCOVID-19から明らかになったように、感染症対策は病原体を対象とした医学、獣医学的研究のみでは解決できず、農学、工学、理学、経済学や人文社会科学系などの学問領域の連携・協力が不可欠である。そこで、様々な学問領域を融合した感染症研究の拠点となる大阪国際感染症研究センターをバーチャル研究所として2021年4月に大阪府立大学に立ち上げた。大阪市立大学に存在する感染症科学研究センターや大阪健康安全基盤研究所とも連携し、COVID-19対策のみならずEXPO25に備えた感染症対策に資する科学的根拠を提供し、府市に提言できる組織を構築することを目指す。今回、大阪府立大学・大阪国際感染症研究センター開設に伴うキックオフセミナーを開催することとなった。我々の活動を多くの皆様にお伝えし、新型コロナウイルス感染症対策に役立てていただければ幸いです。

所長 

大阪府立大学・学長補佐

大学院生命環境科学研究科 獣医学専攻 感染症制御学領域 教授 山崎伸二